2025.06.14
こんにちは。岡山市南区福浜町にある髙知歯科医院、院長の髙知信介です。
今回は、皆さんにぜひ知っておいていただきたい「歯周病と全身疾患の関係」について、詳しく解説いたします。
「歯周病って、歯ぐきの病気でしょう?」「お口の中だけの話じゃないの?」――こうしたご質問を受けることがよくあります。
実は、歯周病は“全身の健康に影響を与える”感染症です。
この記事では、最新の研究を踏まえながら、なぜ歯周病が全身の病気と関わっているのか、そして、どうすれば全身の健康を守ることができるのかを解説していきます。
歯周病とは、歯を支える「歯ぐき」や「歯槽骨(しそうこつ)」が、細菌によって破壊されていく慢性の感染症です。初期段階ではほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに進行していくことから、「沈黙の病気」とも呼ばれます。
原因は、歯の表面に付着するプラーク(歯垢)内の細菌。この中には炎症を引き起こす毒素を出す菌が多数含まれ、歯ぐきを通して体内に入り込むことが分かっています。
これらの細菌や炎症物質が血管に入り込み、血流に乗って全身へと巡ることで、さまざまな全身疾患と関係を持つことになるのです。
糖尿病と歯周病の関係は「双方向性」であることがよく知られています。
つまり、糖尿病があると歯周病が悪化しやすくなり、歯周病があると糖尿病の血糖コントロールが難しくなるということです。
これは、歯周病の炎症がインスリンの働きを妨げる物質(サイトカイン)を産生し、血糖値の上昇を招くためです。実際に、歯周病の治療を行うことでHbA1c(血糖の指標)が改善したという報告もあります。
当院でも糖尿病をお持ちの患者さまには、定期的な歯周病ケアを強くおすすめしています。
歯周病菌は、血管内皮に炎症を起こし、動脈硬化の進行を助長するとされています。
特に、歯周病菌の代表である「ポルフィロモナス・ジンジバリス」は、血管内で血栓を形成する作用があるとされ、これが心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
心血管系の既往歴がある方は、歯ぐきの出血や腫れを放置せず、早めに歯科医院で診てもらうことが重要です。
高齢者に多く見られる肺炎のひとつに「誤嚥性肺炎」があります。
これは、口腔内の細菌が唾液や食べ物と一緒に肺へ入ってしまい、炎症を引き起こすものです。
特に要介護高齢者や寝たきりの方では、口腔ケアの不足により歯周病が悪化し、誤嚥性肺炎のリスクが高まることが分かっています。
歯科による定期的な口腔清掃が、肺炎予防にもつながるのです。
妊娠中に歯周病を放置すると、早産や低体重児出産のリスクが高まるという研究結果があります。
これは、歯周病による炎症物質(プロスタグランジンなど)が子宮に作用し、陣痛を早めてしまうためと考えられています。
妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすくなるため、妊娠前~妊娠中の口腔ケアがとても大切です。
近年では、歯周病とアルツハイマー型認知症や関節リウマチ、さらには一部のがんとの関連も研究が進んでいます。
まだ確定的な因果関係は明らかではないものの、慢性炎症を引き起こす感染症としての歯周病が、全身の免疫システムに影響を与える可能性は非常に高いと考えられています。
日本は世界有数の長寿国ですが、「健康寿命」となると話は別です。
できるだけ長く自立した生活を続けるには、食べる力=口の健康がとても重要になります。
歯周病によって歯を失えば、咀嚼力が落ち、食事の内容や栄養バランスに影響を与えます。さらに、咬合機能の低下は認知症リスクや転倒リスクとも関わります。
つまり、歯周病予防は単なる“歯のケア”ではなく、人生の質(QOL)を守る大切な医療なのです。
岡山市南区・福浜町にある髙知歯科医院では、以下のような方法で歯周病の予防・早期発見・早期治療を行っています。
歯周ポケットの深さ測定
歯の動揺度チェック
レントゲンによる骨の状態確認
必要に応じて、細菌検査や位相差顕微鏡も活用
歯石の除去(スケーリング・ルートプレーニング)
ブラッシング指導や生活習慣改善のアドバイス
メインテナンス間隔の個別提案
糖尿病や心疾患をお持ちの方には、主治医との情報共有や、治療計画の調整を行いながら進めていきます。
歯周病は、単なる歯ぐきの病気ではありません。
**全身の健康に深く関わる“見えないリスク”**なのです。
・糖尿病がなかなか改善しない
・心疾患や脳梗塞の既往がある
・高齢の親の誤嚥性肺炎が心配
・妊娠を控えている、または妊娠中
・いつまでも元気に食べたい・話したい
そんな方にこそ、ぜひ一度歯周病チェックをおすすめします。
当院では、患者さま一人ひとりの健康背景を踏まえたオーダーメイドの歯周病治療と予防プランをご提案しています。
「歯ぐきが腫れている気がする」「血が出るけど放置していた」
そんな小さなサインこそが、健康を守る第一歩です。
ご不安な方は、どうぞお気軽に髙知歯科医院までご相談ください。