【CERECの即日修復】1日で完成するセラミック治療と予防歯科的メリット

こんにちは。岡山市南区福浜町の髙知歯科医院、院長の髙知信介です。

「早く治療を終わらせたい」「白くて自然な歯を入れたい」――そんなご希望に応えるのが CEREC(セレック)による即日修復治療 です。
従来のセラミック治療では1〜2週間を要しましたが、CERECなら1日で治療を完結できます。さらに、予防歯科的な観点からもメリットが大きいのが特徴です。

こちらが CEREC(セレック)システム です。ドイツで開発された最新のデジタル機器で、セラミック製の修復物を最短1日で完成させることができます。
当院では2022年より導入し、多くの患者様にご利用いただいております。

目次

  1. CERECとは?即日修復を可能にするデジタル技術

  2. 従来のセラミック治療との違い

  3. CEREC治療の流れ

  4. CERECのメリット

  5. CERECのデメリットと正しい理解

  6. 適応できる症例とできない症例

  7. 治療費の目安と保険適用の有無

  8. 当院での活用事例

  9. 即日修復がもたらすQOL向上

  10. まとめ

  11. よくある質問(FAQ)

 

1. CERECとは?即日修復を可能にするデジタル技術

CERECは、口腔内を3Dスキャンし、コンピュータで設計、その場でセラミックを削り出して修復物を作製するシステムです。
従来必要だった「型取り」や「技工所への依頼」を省略できるため、1日で治療完了が可能になります。

2. 従来のセラミック治療との違い

従来:型取り → 仮封 → 技工所での製作(1〜2週間) → 装着
CEREC:スキャン → 設計 → 削り出し → 装着(最短90分)

仮封が不要で、通院回数も最小限です。

3. CEREC治療の流れ

  1. スキャン:口腔内カメラで撮影

  2. 設計:ソフトで理想的な形態を設計

  3. 加工:セラミックブロックを削り出し

  4. 装着:セットして研磨・調整

 

4. CERECのメリット

■ 一般的なメリット

  • 1. 通院回数が少なく済む

    従来のセラミック治療では、型取りから完成までに少なくとも 2〜3回の通院が必要でした。特にお仕事や子育てで忙しい方にとって、何度も通院するのは大きな負担です。
    CERECはその日のうちに削り出しから装着までを行うため、最短1回の来院で治療が完了します。海外出張や結婚式、急な予定を控えている方にとって大きなメリットです。

    2. 審美性が高い(天然歯に近い色合いと透明感)

    CERECで使用するセラミックブロックは、天然歯の色調や光沢に近いため、治療後の歯がとても自然に見えます。銀歯のように目立たず、前歯だけでなく奥歯でも 口を開けた時に自然な印象を保てます。
    また、金属を使わないため、歯ぐきの境目が黒ずむ心配もありません。

    3. 金属アレルギーのリスクがない

    従来の銀歯(保険診療で一般的に使用される金銀パラジウム合金)は、経年的に金属イオンが溶け出し、金属アレルギーや歯ぐきの変色を起こす可能性があります。
    CERECは 100%セラミック製なので、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して使用できます。特に「体に優しい素材で治療したい」と考える患者さんにとって、大きな安心材料となります。

    4. 精度が高くフィット感が良い

    従来の型取りは、シリコン印象材を使って歯型を取り、石膏模型を作り、それを元に技工所で作製していました。この過程には「わずかな変形や誤差」が生じる可能性があります。
    一方CERECは、口腔内を直接スキャンしてデジタルデータ化するため、誤差が非常に少なく、適合精度が高い修復物を作製できます。フィット感が良いことで隙間から細菌が侵入しにくく、二次う蝕の予防にもつながります。

    5. 仮歯・仮封が不要

    従来の治療では、完成までの間に仮歯や仮封材を使用しますが、これらは強度や適合性が十分ではなく、外れたり細菌が侵入することがあります。
    CERECではその日のうちに修復物をセットできるため、仮封期間がなく、治療中の不安や感染リスクが大幅に減少します。

    6. 治療後すぐに噛める

    仮歯や金属冠の場合、治療後すぐに硬いものを噛むと外れたり壊れることがありました。CEREC修復物は装着直後から強度が安定しており、治療当日から普段通りの食事が可能です。

■ 予防歯科の観点からの利点

従来の治療では、装着までの間は仮封材で歯を覆います。しかし仮封材は完全密閉ではなく、細菌が侵入して**二次う蝕(再虫歯)**の原因になることがあります。

CERECは即日で修復物を装着するため、仮封期間が存在せず、感染リスクを最小化できます。

さらに、研究報告からも予後の差が明らかです。

つまりCERECは、審美性と予防効果を両立できる治療法なのです。

5. CERECのデメリットと正しい理解

  • 欠けるリスクがある
     セラミックは強度に優れますが「陶材」である以上、強い力がかかると欠けたり割れたりする可能性があります。
     ただしこれは「材料が適度に割れるからこそ、歯や歯根、骨が守られる」という安全弁の役割を持っています。

  • 保証制度があるので安心
     当院では、万が一CEREC修復が欠けたり割れたりした場合でも、5年間の保証を設けております。治療後も安心してご利用いただけます。

  • 適応範囲に制限がある

    CERECは非常に優れたシステムですが、万能ではありません。特に以下のようなケースでは適応が難しい場合があります。

    • 複数の歯を連結するブリッジ(特に奥歯で大きな力がかかる場合)

    • 歯ぐきの下まで深く進行した虫歯や、大きく歯質が失われたケース

    • インプラント上部構造の一部や特殊な形態の補綴物

    このようなケースでは、従来の技工士によるカスタムメイドのセラミック修復や他の治療法を検討する必要があります。つまりCERECは 「単冠や単独のインレー・クラウンで特に力を発揮する治療法」 とご理解いただくと分かりやすいと思います。

    ・基本的に自由診療である

    CERECによる即日修復は、現在の日本の保険制度では対象外となり、自由診療になります。そのため治療費は保険治療に比べて高額に感じられるかもしれません。

    しかし、長期的な視点で考えると、CERECは経済的にも優しい治療といえます。なぜなら、

    • 高い適合精度により、二次う蝕(再び虫歯になること)が起こりにくい

    • 金属アレルギーや歯ぐきの黒ずみといったトラブルの心配がない

    • 平均寿命や10年後生存率が銀歯よりも圧倒的に優れている(セレックインレー10年後生存率95%)

    といった理由から、再治療のリスクが少なく、結果的に治療回数や費用を抑えることにつながるからです。

    つまりCERECは「一時的に費用はかかるけれど、長い目で見るとむしろ経済的に優しい治療」といえるのです。

 

 

6. 適応できる症例とできない症例

  • 適応:インレー、クラウン、ラミネートベニア

  • 不向き:複数歯ブリッジ、歯肉下に大きく及ぶ虫歯

 

 

7. 治療費の目安と保険適用の有無

  • CERECインレー:57,000万円

  • CERECクラウン:78,000万円
    (※いずれも税込み、自費診療。保険のCAD/CAM冠とは異なります)

 

 

8. 当院での活用事例

「結婚式前に前歯を治したい」「出張前に治療を終わらせたい」といった方に大変喜ばれています。
また「仮歯がなくて安心」「治療後すぐに噛める」という声もいただきます。

こちらは当院で行った治療です。このような大きな虫歯がある歯でも、その日に治療が完了し、治療後すぐに噛むことができます。

9. 即日修復がもたらすQOL向上

  • 通院回数が減り、時間的ストレスが少ない

  • 仮封期間がないため、虫歯の再発リスクを減らせる

  • 美しい歯をその日のうちに取り戻せる

 

 

10. まとめ

CERECによる即日修復は、

  • 仮封期間がなく再感染リスクが低い

  • 長期的予後でも銀歯より優れている(10年生存率95%前後)

  • 欠けるリスクがあっても、歯を守るための自然な仕組み

  • さらに5年間の保証付きで安心

「見た目」と「予防」を両立できる、これからの時代にふさわしい治療です。

11. よくある質問(FAQ)

Q1. CEREC治療は本当に1日で終わりますか?
A. はい。虫歯の範囲や本数にもよりますが、1〜2歯であれば最短90分〜2時間で治療を完了できます。

Q2. セラミックは欠けやすいと聞きますが大丈夫ですか?
A. 強度に優れていますが、陶材である以上、強い力で欠ける可能性はあります。ただしこれは「歯や骨を守るための自然な安全弁」と考えられています。さらに当院では5年間の保証をつけていますので安心です。

Q3. 保険は使えますか?
A. CERECの即日修復は自費診療となります。保険のCAD/CAM冠とは異なるシステムです。

Q4. 銀歯と比べてどのくらい長持ちしますか?
A. 銀歯の10年生存率は70%前後と報告されていますが、CERECを含むセラミック修復は90〜95%と高い長期成績が示されています。

Q5. 審美性はどうですか?
A. 天然歯に近い色調と透明感があり、前歯でも自然に仕上がります。金属を使わないため歯ぐきの黒ずみも起きません。


執筆:髙知歯科医院 院長 髙知信介(日本歯周病学会認定医)

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